GEの「9Blocks」というユニークな人事制度

GEの「9Blocks」というユニークな人事制度

 ジャック・ウェルチがGEのCEOを務めていた期間は、アメリカを、そして世界を代表する優良企業と言えば、ほぼ例外なくGEの名前が挙がり、GEが実行した様々な施策(ベンチマーキング、シックスシグマ、セッションC、ワークアウトなど)は、世界中のビジネスパーソンや研究者の関心を引いたものだ。今日は、私が知っている範囲で、GEの特徴的な人事評価制度について書いてみたい(ただ、現在のGEがどのような人事制度をとっているかは、申し訳ないが情報がなくて解らない。あくまでも、ウェルチの在任期間中のものとして捉えていただければと思う)。<br> <br>  GEはまず、厳格な成果主義を取っている。ここで1点注意しておきたいのは、「結果主義(業績主義)」と「成果主義」の違いである。「結果主義」とは、あくまでも最終的な業績のみを評価するやり方である。営業担当者であれば売上高や粗利率、製造責任者であれば在庫回転率や出荷額など、財務上の結果に結び付きやすい指標に基づいて評価を行う。<br> <br>  他方、本当の意味での「成果主義」では、業績のみを評価するのではなく、そこに至るまでの「中間指標(プロセス指標)」や、最終的な結果に結びつきやすい「行動」も評価対象とする。先ほどの営業担当者の例で言えば、売上高や粗利率に加えて、「中間指標」として、営業活動に対する顧客の満足度や、見込み顧客の商談化率、商談の進捗率などといった指標を用いる。また、「成果に結びつきやすい行動」とは、いわゆるコンピテンシーのことだ(※1)。最終的な結果、中間指標、コンピテンシーの3つをバランスよく評価するのが、本来の意味での成果主義である。<br> <br>  「成果主義」というと、成果が大きければ大きいほど高く評価されるような感じにも聞こえるが、GEは「成果の大きさ」ではなく、「成果を上げる生産性の高さ」で評価を行っている。なぜならば、成果の大きさで評価してしまうと、育児のために時短勤務制度を利用している女性社員がどうしても不利になるからだ。こうした弊害をなくすためにも、成果の大きさではなく、生産性に基づいて評価を行っている。こうした評価方法は、GEがダイバーシティマネジメント、とりわけ優秀な女性社員をGEにつなぎとめ、その能力を最大限に活用するために、重要な役割を果たしている。<br> <br>  以上の前提を踏ま

マネジメント・フロンティア~終わりなき旅~

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